瑠衣は本当に何も知らなかったようだ。


グラウンドで体育のサッカーをやっている瑠衣の姿を見て、ファンになった子は沢山いた。


あたしは昔を懐かしむように会話を進めながら、瑠衣の体を切断していった。


瑠衣はガッシリとした体だから、最初から最後までのこぎりを使う。


肉片がバラバラになってしまうけれど、あたしは瑠衣の綺麗な目だけあればそれでよかった。


「なんだ、俺って結構モテてたんだな」


会話の途中で瑠衣がそう言ってニヤリと笑う。


少し調子に乗らせてしまったようだ。


「そういえば瑠衣って勉強は全然できないよね。宿題も全然してこないし」


「お、おい、その話はやめてくれよ」


瑠衣が慌てたように言う。


その様子を見てあたしは声を立てて笑った。


こんな風に瑠衣をからかえるのも、これが最後なんだ。


「でも、夢羽に勉強を教えてもらうようになってから、少しは成績も上がったんでしょう?」


あたしは休憩時間中に教科書を広げていた様子を思い出してそう聞いた。


「あぁ……夢羽は教え方が上手だったからな」


瑠衣の口調がゆっくりになる。


少し眠くなってきたようだ。