もしかして、今日はお休みするつもりだろうか?


昨日30人も解体したのなら後片付けも時間がかかっただろうし、体力を消耗してまだ寝ているのかもしれない。


そう思いながらあたしは『ロマン』の裏へとまわった。


ゾンビの『お客様』が入る小さな入口がそこにはある。


今日はまだ誰も並んでいなくて、あたしは少し身を屈めるようにして解体部屋へと入って行った。


『ロマン』の何倍もの大きさのある部屋にはコーヒーのストック棚の他に、大きな洗面所が付いている。


ゾンビを切り刻んで血まみれになった体を洗う浴槽も、生ごみを再利用する大きなゴミ箱も設置されている。


その部屋の隅に置かれているソファの上で、河田さんが寝息を立てているのが目に入った。


まるで子供のような寝顔に思わず微笑んでしまう。


疲れ切った河田さんは家に帰らずにここで眠ってしまったのだろう。


お店の方には簡単は食事もあるし、数日泊まるくらいなら問題ない環境だ。


でも……。


あたしは河田さんが横になっているソファを見た。