「あたしね、『ロマン』辞めるの」


思いきってそう言うと、楓の顔から笑顔が消えた。


「なんで……?」


眉をㇵの字にして、今にも泣きだしてしまいそうだ。


「お金も随分貯まったし、楓もバイトとして入ったし、あたしはそろそろ辞めてもいいかなって思って」


「もしかして、それってあたしのせい?」


「何言ってるの、そんなわけないでしょ?」


あたしは慌てて楓の言葉を否定した。


「だって、あたしがバイトを始めるまではモコ1人がバイトだったんだよね?」


「それはそうだけど……」


あたしは返事に困ってしまった。


「とにかく、『ロマン』に向かおうよ」


あたしはそう言い、楓と一緒に教室を出たのだった。