☆☆☆
『ロマン』が開店する時間になると河田さんが解体部屋から戻ってきた。
そしてエプロン姿の楓を見るなり鼻の下を伸ばし、ニコニコと上機嫌になる。
楓には一通り仕事内容を教えているし、もう河田さんがいなくてもあたしだけで大丈夫だった。
しかし河田さんは「今日の解体もモコちゃんにお願いしようと思うんだ」と、言ってきたのだ。
あたしは驚いて目を丸くする。
「あぁ。色んな『お客様』の相手をするのは仕事の内だよ」
河田さんはそう言い、あたしのカッパをあたしに差し出してきた。
河田さんの言っていることは一見正しいように見えるけれど、結局はあたしに解体の仕事を押し付けたいだけなのだ。
あたしは呆れながらも河田さんからカッパを受け取った。
「解体は男性の方があっている仕事だと思いますけど」
「あぁ、体力的になそうだろうなぁ。でも、解体するテクニックを教えるから、
体力も筋力もないモコちゃんでもきっと大丈夫だよ」
あたしを安心させるための言葉の中に罵倒に似た物が混じっているが、それは無視しておくことにした。
『ロマン』が開店する時間になると河田さんが解体部屋から戻ってきた。
そしてエプロン姿の楓を見るなり鼻の下を伸ばし、ニコニコと上機嫌になる。
楓には一通り仕事内容を教えているし、もう河田さんがいなくてもあたしだけで大丈夫だった。
しかし河田さんは「今日の解体もモコちゃんにお願いしようと思うんだ」と、言ってきたのだ。
あたしは驚いて目を丸くする。
「あぁ。色んな『お客様』の相手をするのは仕事の内だよ」
河田さんはそう言い、あたしのカッパをあたしに差し出してきた。
河田さんの言っていることは一見正しいように見えるけれど、結局はあたしに解体の仕事を押し付けたいだけなのだ。
あたしは呆れながらも河田さんからカッパを受け取った。
「解体は男性の方があっている仕事だと思いますけど」
「あぁ、体力的になそうだろうなぁ。でも、解体するテクニックを教えるから、
体力も筋力もないモコちゃんでもきっと大丈夫だよ」
あたしを安心させるための言葉の中に罵倒に似た物が混じっているが、それは無視しておくことにした。