死神喫茶店

あたしは内臓を横に移動しておいたゴミ箱にそのまま移した。


人間の体は人間として機能しなくなった瞬間から、柔らかく、別の生物の家となって移り変わって行く。


『お客様』の体をスコップですくって捨てるたび、あたしはそう感じた。


生きていても死んでいても、何かの役になっている。


生物は生物を生かす力がある。


生きている間どれほど残酷な人間であっても、死んでしまえばこんなに小さなウジムシたちの栄養となるのだ。


天国や地獄といったものが存在しなかったとすれば、死んでいきつく場所は、きっとみんな同じだ。


スコップの先が硬い物に当たってガンッと音を立てた。


見ると、白い骨が見えている。


もうここまで体を解体したのか。


無心で作業を続けていたため気が付かなかったが、『お客様』の体の上半身はほぼなくなっていた。


「これほど腐敗していたんじゃ皮膚や臓器は使えないもんね」


あたしは呟いた。


河田さんと同じように『お客様』の体の一部を保存しておくつもりだったのに、骨くらいしかつ変えなさそうだ。