あたしは視界の端で夢羽と瑠衣を見た。


2人は相変わらず楽しそうにおしゃべりを続けている。


「諦めたとか、夢羽に瑠衣を譲ったとか、そういうわけじゃないんでしょ? モコ自身も納得して2人を認めた。そんな風にあたしには見えるけど」


楓の言葉にあたしは目を見開いた。


楓がそんな風にあたしを見てくれていたなんて思っていなくて、ビックリしている。


みんなが幸せになれればいい。


たしかにそう思っていた。


でもそれでは自分自身が幸せになることができず、結局みんなで幸せになるなんて無理だと結論付けていた。


それでも、楓はそんな風に見てくれていたんだ。


「あたしは、まだまだ子供だよ」


「そんな事ないよ。モコはモコが思っている以上に大人だよ」


楓はそう言い、ほほ笑んだのだった。