「大丈夫だよ、モコちゃんのシフトは減らさないから」


河田さんがそう言い、あたしの頭をポンッと撫でる。


「『ロマン』は365日営業だ。モコちゃんが休みの日とかに、楓ちゃんに入ってもらう事にしたんだ」


上機嫌でそう言う河田さんにあたしは開いた口がふさがらなかった。


あたしが解体部屋で少し時間がかかっている間に、すでにそんな会話がされていたのだ。


河田さんからすれば楓をここに置いておきたいし、楓からしても河田さんに会える。


楓が『ロマン』でバイトをすることが、2人の距離を一番縮めやすい。


予想外の展開にあたしは驚きながらも、楓と一緒ならこれからのバイトも楽しくなるかもしれないと思ったのだった。