部屋の片づけをしていたとき 昔の卒業アルバムを見つけた。

パラパラとページをめくっていき
ある所で手をとめた。

彼だ_________。

いつも 彼は笑顔だった。

話しかけてくれ 優しくしてくれて。
それで 毎日 元気をもらっている。

けどね、私 知ってるよ。

皆がいない 所で一人泣いていることを。
バレないように一生懸命 声を おしころして…
うずくまって 肩を震わせている貴方の背中に 何かを背負ってるかのように 見えた。

どうしたの?
声を掛けようとしたけど
口から言葉が出てこなかった。

泣き跡を見て 胸がきゅっと 締め付けられる。

他人に弱さをみせまいと ふざけてる姿が痛々しい。

私にも相変わらず 笑顔をみせた。
高鳴る鼓動。

私。彼が好きなんだ。
自覚してしまった……

この想いを伝えたいけれど
勇気のない私は 今の関係 が壊れるのが 怖くて最後まで言えなかった。

卒業式。
皆それぞれ 行く高校は違う。
彼もまた私とは違う高校に通うのだ。

誰もいない 乗降口で彼は いつもの笑顔で私に言った。
「今まで ありがとな! じゃあまた!」

私も 溢れる『好き』の気持ちを押さえて
笑顔で手を振った。

「じゃあね!」


今 彼はどうしているのだろう…
笑顔で幸せに暮らしているのかな。

甘酸っぱい気持ちを振り返りながら
私は アルバムを閉じた。