彼が出て行ったあと、直ぐに、二人が入って来て、心配そうに何があったの?って聞いてきた。


「くそ、本当になにもされなかった?」
青木君が、私の顔をよく見て調べるように言う。

「ええ、大丈夫」
久美子が、少し離れたところから言う。


「ねえ、泣いてたんじゃないか?」
目が赤いのかな。青木君に見破られた。

「話をしてて、感情が高ぶっただけ。何ともないから」
何とか誤魔化されてくれるといいけど。


「まあ、ちゃんとしてくれるんなら、何とかなるでしょう」


「もう、二人っきりになんかなる必要ないからな」
青木君が気遣ってくれる。

私は、どうしてこういうちゃんとした人を好きにならないんだろう。

「うん」

本当に大丈夫?と
何度も聞いてくれた青木君に、結局本当の事が言えなかった。

週末に約束させられたって言ったら、青木君また、怒るだろうな。