食事のあと、パーティーメニューにあった、ワインを頼んでみた。
ワインを飲みながら、じいっと考え込んでいる。
彼に合わせて、ニコニコ笑っていればよかったのかな。
でも、プレゼント攻撃は、怖すぎる。
こんな様子だと、見かけによらず相当参ってるのかも知れない。
高嶺の花の菜々ちゃんに、一社員の彼が無理して付き合っていたとか?
大変だよね。創業者のお嬢様を満足させるって。
何とかロスっていうやつかな。
わがままなお嬢様がいなくなって、拍子抜けしちゃったのかな。
それで、私に彼女の代わりをさせようとしてるってこと?
んん……でも、
それで借金が雪ダルマ式に増えて、人生を誤っても私は責任持てないから。
「なかなかうまかった」
何とかロスかもしれないが、井上さん、食欲は十分あるみたいだ。
食事も申し分ないもので、毎週のように贅沢なところで食べ比べていると、一流の店であっても味は一様ではない。
その店によって目指してる味が違うだろ?と井上さんが教えてくれた通りだった。
彼と出かけるのは、刺激的で本当にびっくりすることが多くて、このまま井上さんが飽きたって言うまで彼の言葉に甘えたいけど。
彼が誘ってくれる理由が、二次会の会場の下見なのに、二次会の候補になりにくい場所にまでこうして連れてきてもらうのは、何か違う気がする。
はっきり言って、会場を決めるのは当事者二人の仕事だ。
だから、私が関わるのはおかしいのだ。


