井上さん、考え込むなんて珍しい。
いつも、何通りもある考えから、一つを選んで話してくれるのに。
「どうかしたの?」
彼は、ゆっくりと口を開いた。
「君は、俺の意見に、耳を貸そうなんて思うか?」
「えっと、今のところ、ほとんど聞いてると思いますけど?」
何か、逆らったりした?私。
「例えば、今みたいな状況の時は?
君は、ここで式を挙げたいと思っている。だが、俺が反対した場合、素直に従えるか?」
彼が何を考えてるのか、読み取ろうと思ったけど、いつものように、まっすぐ私を見るだけで何を考えているのかまでは、分からなかった。
「何ですか?それ。心理テスト?それとも忍耐力を試してるの?」
「出来れば、両方だ」
ええっと。
「結婚したいほど信頼してる相手がどうしても、ダメだっていううんでしょ?だったら、自分の意見なんか、無理に通したりできないと思うけど。そんなことしたら、相手を困らせたり、傷つけてしまうもの」
「ありがとう。君ならそう言ってくれると思った」
嬉そうに笑う彼。
「そ、そうなの。クイズの回答は、これでいい?」
彼は、満足そうに頷いている。
何のテストなんだ?
まあ、いいや。納得してくれたし。
私は、封筒を取り出して、パンフレットを取り出した。
「それで?えっと、ここは、二次会ならOKなわけね?」
忘れないうちに、書き込んでおかなきゃ。
「ああ、そうだよ」
「社員が主催することに、会社側は文句は言わない」


