そして、私は、都会の50階にあるという最高のロケーションのレストランを見渡した。
つい二か月前にも、ここ食事に来たわよね、竜也?
確か、映画の帰りだったよね。
その時は、ラフな格好でふらっと立ち寄った、若いカップルの冷やかし客に過ぎなかったけど。
こんなふうに夜景がきれいで。
最高の夜だって言ってたわよね。覚えてる?竜也。
本当に、たった二か月前のことだけど。
竜也が私に向かって言う。
「あ、あのね。花澄?二次会の会場ここでもいいかなと思ってるんだ」
私の顔が引きつった。
竜也の無神経さにさすがに苛立ちを覚えた。
「いいわね。思い出の場所で」
今度は、竜也の顔がきゅっと引きつる。
「思い出?」
西田菜々が、いったいどんな思いでかしら?って興味を示した。
「こういう夜景の見える場所がいいなって話したことがあったかもしれないな」
慌てて竜也がフォローする。