携帯でメニューや店のホームページをじっくり見ていたら、すぐ近くで声がした。

私は、いろんな情報を見るのに集中していて、彼に何度か声をかけられるまで気がつかなかった。


「君は、夜景は嫌いなのか?」
ぶっきらぼうないい方。
機嫌が一気に悪化してる。
一体何があったの?

いきなりそう聞かれたから、少し驚いた。


「私がどう思うよりも、菜々さんが気に入らないと」
二次会の主役は、菜々さんだから。


「菜々はどっちでもいいっていうよ。みんなが満足してくれれば」


「きっと気に入ると思うな。こんな素晴らしい景色、嫌いな人いないもの」
本当にうっとりしてしまう。

私は、顔を上げて素晴らしい景色を見る。

「だったら、もっと楽しめよ。シャンパンでも頼もう」

「ちょっと待って。当日も、シャンパンを頼むの?そんなの、当日の飲み物リストにはなかったでしょ?」

私は、店のスタッフを呼び止めようとする彼を止めた。


「そうだろうね。でも、そんな先のことなんか知らないさ。飲みたいのを飲むよ」

もう、本当に。飲みたいものばかり頼んでたら、何しに来たのか分からないでしょ。

「ちょっと待って、やっぱり来た理由考えると……
私は、リストにあるものから試したいわ」

井上さんは、もう、いい。わかったというと、二次会を検討してるから料理とお酒を試したいとお店の人にいい、用意できるものでいいからと店の人に伝えた。

「あらかじめ、出してもらうように、頼んでおけばよかったね」


「そうだな。次回はそうしよう」