戻ってみると、竜也は、席を外してデスクの周りには居なかった。
席をはずしていた間の仕事を片付けるために、余計なことは考えず、私は作業に集中した。
私が勤めている「ineホーム」は、若者向けの家具を割安な値段で価格で販売し、家具チェーン大手として全国展開をしている。
うちの社の製品は、個性的な商品が多く、品揃え、デザイン性にも優れ、見栄えもよく、低コストでお得感があるっていうのが売りだ。
今の社長になってから、高級路線を捨てて、現実的な商品にターゲットを絞っている。
おかげさまで、ネット販売が幅を利かせる中、着実に店舗を増やしている。
私は、その本社ビルの中にある、総務部の中の庶務担当だ。
何でもやる部署と言われる中でも、さらに雑用の多い仕事で、自分のところでやりきれない仕事とか何でも回ってくる。
一応、私の仕事と言われてるものは、
電話を取ったり、備品を管理したり、請求書の確認をしたりよく聞く仕事だ。
その他部内の庶務業務との連係など、幅広く担当している。
仕事の半分は、庶務課の主任である木下竜也と分け合っている。
今は二人で、ほとんどの仕事を、分け隔てなく請け負っているけど、力仕事や男性の方が都合のいい仕事は、竜也が担当することになってる。
だから、私たちは、社内のあらゆる部署で便利屋さんみたいに電話一本で呼ばれて、仕事をするからふざけて便利屋兄妹って呼ばれたことがある。
その時は、竜也とは、便利屋兄妹なんかじゃないって反発したけど、便利屋って言われたことより、二人で並んで兄妹って言われたとことの方がショックだった。


