次の日は、最悪の気分と最悪の格好で目が覚めた。


何とかベッドにたどり着いたのはいいけれど、昨日身に着けていた、買ったばかりのミニ丈のワンピースのままベッドに転がっていた。


間違いなくシワになってる。


自宅で洗っても、シワが増えるだけで、どうにもならないだろうからクリーニング出さなきゃ。

頭が重い……


背中に腕を回してファスナーを下げようとしてたら、電話が鳴ってるのに気がつく。

電話は鳴り止まない。

ファスナーをつまむのを諦めて、携帯を手に取る。



――寝てたのか?


低くて落ち着いた声
誰の声かすぐにわかった。
なんで番号知ってるの?
知ってたって、何で電話かけてくるの?


「んん……」


――寝ぼけてるのか?


「寝ぼけてなんかいません。不審者だと思って切ろうかと思ったんです」


――お前っ、ちゃんと名前入れてあるだろ?



「井上なんて、全国に何人いると思ってるんですか?」



――じゃあ、俺の名前もちゃんと入れとけ