井上家の人々に対面の挨拶をするのに、いっぺんに済ませるというのは魅力的だ。
けど、そういうのって、正月でもいいんじゃないかな。


彼は、続ける。
「当たり前だろう。クリスマスにはクリスマスツリーとプレゼント交換に決まってるじゃないか」今時、中学生の男の子でもこんなことは言わない。


何となく、彼のまっすぐな性格が、どうやって作られていったか分かる気がする。

「ええっと、クリスマスは二人っきりで、シャンパンなんか飲みながら……」


「んん?俺、そんなこと言ったか?」

そういうのは、眼中にないわけね。


「言ってませんね」


「なんだあ、もしかしたら、あのこと気にしてるのか?」
真裕が嬉しそうに腕を回してくる。

首筋にキスを落としながら、すでに別のことに注意が行ってる。

「あのこと?」


「夜のことだろう?そっちは心配するな。将来の孫のためなら、お袋はいくらでも協力するぞ」


「違うって」