クリスマスを前に、街の華やいだ雰囲気とは全く逆に、私は、だんだん憂鬱な気分になってきた。

初めてのラグジュアリーな夜、劇的な愛の告白とくれば、次は、プロポーズ?

どんな方法で私を喜ばしてくれるのかしら?なんて、期待に夢を膨らませていた。



「実家?って真裕のうち?」

彼は、当たり前のようにクリスマスは家で過ごすという。


「そう。言っとくけどマンションじゃないよ。実家のことだよ」


「クリスマスに実家ですか?家族って、お母様だけ?」

「いいや。祖父もいるよ。あと叔父さんたちも来る」
叔父さんというのは、菜々ちゃんのお父さん、西田専務だ。