「キャアーッ可愛い!」
隣にいた女の子が、菜々ちゃんを見つけて駆け寄って行った。
披露宴の時より短めのドレスに着替えて、行動的だ。早速、同期の女の子たちに囲まれている。
その様子をぼんやり見ていた。
すぐ横で、聞きなれた声がした。
「花澄?今日は、本当にありがとうな」
竜也が、私のすぐ横に立っていた。
彼は、女の子たちに囲まれている花嫁を置いて、受付にいた私のところまでやって来た。
「花澄のおかげでここまで来れたよ」
彼は、感謝を込めたのか、軽く一礼する。
「本当ですよ。最後まで迷惑かけられっぱなしでした」
「本当に感謝してる。ありがとう」
この人に仕事を全部教えてもらった。
『大丈夫だって、何とかなるから、話してごらん?』
新人の頃、営業から言われてた備品を注文し忘れて、真っ青になって竜也に打ち明けた。
打ち明けたけど、話すのが遅くてどうにもならなくて、結局竜也が頭を下げて代わりに謝ってくれた。
後で、一言も私を責めるようなことを言わない人だった。そういうところが好きだったのかもしれない。
この人はいい人だった。本当に。
菜々さんとはどうして知りあって、どうして彼女を選んだのか、聞けずじまいだったけど。
こころの傷が消えてなくなったら聞いてみたいと思う。
「君にも幸せになってほしい」
「うん」
今では、菜々ちゃんと幸せになってほしい。
「あっ、そうだ。井上が受け付け終わったからって帰るなって言ってたよ」
「ん。ほら、菜々ちゃん呼びに来た。新郎新婦入場だよ」
彼には、本心から幸せになってもらいたい。


