当日の朝、雲一つない冬の恨めしい青空が広がっていた。
竜也から、この日のことを聞かされたとき、こんなに晴れた空で結婚式が行われるのだけは嫌だなと思ってた。
季節外れの台風が来てくれないかと、昨日から手を合わせていたのに。
けど、実際にその日を迎えた今朝は、おもったより平然と清々しく朝を迎えてる。
私は、菜々さんに説得され、どういう訳か結婚式にまで参加している。
結局、止めないんですね。
そう言いたかったのをこらたえた。
おかしいだろう。
でも、まだ望みはある。
新郎がそっくりそのまま入れ替わってるかもしれない。
真裕さんより、竜也を選ぶなんて、頭がどうかしてたと思いなおすかもしれない。
『チャペルは大きめなの。だから、式の様子も見にきて』と潤んだ目で見つめられて、とうとう押し切られた。
ああ、本当に行きたくない。
どっちが新郎だったとしてもだ。
結婚式は、彼からも聞いていた。都内の豪華なホテルだ。
このホテルも素晴らしい。
木の温もりと優しい香りに包まれるチャペル。
天井から自然光が降り注ぎ、光のシャワーに浮かび上がる
一生に一度の、永遠の愛を誓うには最高の舞台。
大都会の中にあるとは思えないくらい広く、幻想的な雰囲気。さすが一流のホテルだと思った。個人的には、真裕と見に行った、空のチャペルの方が気に入ってる。
静かにヴァージンロードを歩く花嫁のベールがずっと後を引いている。
淡いピンクのブーケがシンプルなプリンセスラインのドレスに映えている。
美人だとやっぱり何しても可愛いな。
ほんの数か月前までは、誓いの場に立っているタキシード姿の横に立つのは、自分だと思っていたのに。幸せそうな二人。私は、二人に精一杯の拍手を送る。
真裕さん客席にいた。
彼は、親戚の中にいて固い表情のままでいる。
怖くて声かけられない。
新郎新婦は、そのまま何枚かホテルで写真撮影。庭に出て撮ってるカットもあった。
「晴れてよかったですね。自然光で写真撮影って爽やかで幸せだなあ」と後輩の女の子がため息を漏らす。
何も知らない女子たちは、晴れの日を喜んでる。


