誤解が広がらないように、釘を刺さなきゃ。

甥御さんとは、もう何の関係もないんですって、

「えっと、そのことなんですけど」長くなりそうな専務の話を打ち切って言った。


私が、そう言った瞬間に、西田菜々がすっと立ち上がって、近づいてきた。

そして、私と専務の間に割り込んで来た。


「専務、そろそろお昼ですから、私花澄さんとお話しがあるの。早めに抜けていい?」

「何だ、もうそんな時間か?それなら折角だから、真裕の彼女も連れて三人で食べに行こうじゃないか」
専務は、受話器を取りどこかに電話をかけようとしたのを西田嬢が止めた。

にこやかに笑うと、上手にその場を取り繕った。
私は、一言も話すことができなかった。

「ごめんなさい、お父様。今日は女性同士でゆっくり話がしたいの。ご一緒するのはまた、別の機会でいいかしら?」

「えっと……私は専務がいても構いませんが」

西田嬢は、私の発言を、まるで無視してにこやかに笑った。


そして「専務では、また」といって私の腕を引っ張ると、がっかりしてる専務を部屋に残して、先に部屋を出て行った。



部屋を出て、すぐに彼女が言った。


「ごめんなさい。父と伯母が暴走しそうなものだから、あなたに会って話をしなきゃと思ってたの」ふわっと柔らかい小動物みたいな外見からは、まったく違う印象を受ける。


「はあ」

西田嬢は、すぐ近くのビルの地下にあるフレンチの店に入った。

「ここでいい?ここなら、個室があるから」

「えっと……」嫌とは言えない雰囲気。