「ダメ。そんなの」
「もう遅い、ここまで来たら収まり付かない」
青木君に腰のところをつかまれて、体ごと持ち上げられた。
抵抗してるのに、あっさり膝に乗ってる。
こいつ、こんなに力が強かったっけ?
簡単に青木君の膝の上に乗せられて、すっぽり彼の腕の中に収まった。
「青木君、ダメだって。離して」
「やっぱ、ダメじゃないよ。本当に気付いてくれなかったんだね。俺は、ずっとこうしたかったのに」
嫌だって言うと、余計に体をピタッと重ねて、抱きしめられる。
「花澄の体。いい匂い。それに柔らかい。早く抱きたい」
彼が自分の胸を押し付けてくる。
私の体の柔らかさを確かめるために。
体をよじる。
井上さん以上に、力が強そう。逃げ出せる気配すらしない。
「ごめん。誤解させるようなことしたら、謝るから。お願い。こんなの止めて」
「キスするだけならいいだろう?本当に軽いやつ」
キス自体は、そんなに強引じゃなかった。
触れただけのキス。
ところが、
「お連れ様がいらっしゃいました」
声がして、すうっと、ふすまが開いた気がした。
「まあ……お客様?」
お店の人が先だった。
「おい、何やってる!!」
なぜか井上さんの声が聞こえて、青木君は慌てたのか、私を抱いたまま畳の上に押し倒した。


