私が、もたもたしてるうちに、彼はジョッキのビールを飲み干していた。彼の右腕は、ジョッキを離れてもそのまま私の二の腕に置かれている。
二の腕、離してほしんだけど。
ジョッキを持っていた手が腕に触れて冷たい。
「どうかしたの?」彼は滞ってる私の作業について言ってるみたいだ。
「ねえ、青木君。これ見て?どうしたらいいのかな」
私は、彼につかまれてる二の腕のことは、一時的に忘れたことにしてる。
彼は、私の背中にぴったり体をくっ付けるようにして、後ろから身を乗り出してきた。
青木君がしばらく、資料を見て、アドバイスをして助けてくれる。
彼が軽く腕中に私の体を閉じ込める。後ろから抱かれてるみたいに資料を見てる。
「まず、決まってるお金から計算してけば?残ったのを大まかに分けといて、その範囲で考えればいいよ」
「なんだ、そうか。さすがだね」
うっと、声が出そうになる。
青木君が二の腕をさするように上下しだした。
今度は、二の腕をぎゅっと握られた。
「俺でも、少しは役に立つ?」
今度は、両腕をしっかり前で交差して、私の後ろから抱きつくようにして座ってる。
さすがに変だ。もう限界だと思った。
「えっと、もちろん。青木君、ちょっと離れようよ」
腕を解こうとする。
「男としてはどうかな?」
「全然いいと思うよ。格好いいし、何か聞けば今みたいに頼りになるし」
「じゃあ、俺にしときなよ」
遠慮がちにしていた彼の片手が前に回って、しかり私をつかまえた。
両手で後ろから抱きしめられてる。
「ちょっと、青木君止めて。本当に怒るよ」
「怒ってもいいよ」
振り向いた時に、彼の熱っぽい目に捕えられた。
やっぱり私は、考えが浅いのかもしれない。
こんなことになる前に、距離を開けておかなきゃいけなかった。


