でも、ちょっと!?
何これ?このカクテル、ちょっと、むっちゃくちゃおいしい。
トロピカルなサマータイムフェア、カクテル。
フルーツや花の名前のカクテルが並んでる。
本当においしそう。全部制覇しちゃおうかな。
私は、もう一杯飲みたいがために、寄るな、話しかけるな状態の井上氏に、ダメもとで話しかけた。
「面倒なこと嫌いって顔してるし、要領も良さそうなのに、なんで幹事なんか引き受けたの?」
「ふうっーっ」てすごい溜息。
「なに、聞かない方がよかったのかな?」
なに?聞かれたくないとこ突いちゃった?
失恋したとか?
まあ、それは私だけど。
「たださえ、結婚式にだって出たくないのにな……」
むすっとして詰まらなさそうな顔してるけど、顔がいいから許す。
どことなく、小学生の時好きだった男の子に似てる。
面倒くさそうに言うけれど、いったんやると決めたらきちんとやる子だった。
彼、今頃どうしてるのかな。こんなにイケメンじゃなかったけど。


