サプライズは、パーティーの後で ~恋に落ちた御曹司~

レストランの隣が、BARのコーナーになっていた。

都会の高層ビルの50階にあるこの店は、レストランの夜景も素晴らしいけど、また違う方角に面したBARからの夜景も素晴らしい。


やっぱり、東京タワーの見えない夜景なんて東京の夜景じゃないって思う。


私は、おしゃれなカクテルを片手に東京の夜景を満喫してる。


夜景の素晴らしさは、不機嫌男に背中むけてるから、半分に減るけど。

隣さえ無視すれば、できる女が一人で、しゃれたBARでお酒を飲むシュチュエーションじゃない?なんて素敵なのかしら。


井上氏は、素晴らしい夜景のこともまるで無視して、ウィスキーを水割りにして飲んでいた。

彼は悩める男そのもので、一言もしゃべらず、じいっと物思いに浸って、完全お一人様モードだ。

それならそれで、構わないんだけど。

彼が、私をソファと間違えて、もたれかかったりすると、ほのかに彼の体温と同時に心地よい香りがする。

私は、ただ酒にあり付いた上に、いい男を横目でちらっと観察できる特典付きで、夜景を楽しんでる。

そう思えば、確かに悪くない。