ドレスを身に着け、髪を上げてもらう。
「こうすると本当に違いますね。普段、あまりオシャレされてない方が、こうして髪形を整えると、見違えちゃいますよ」
トップの部分をまとめて、左右に流れるように肩に垂らした。
花嫁のように少し濃い目のメイクをしてもらう。
平凡な顔とか、好みじゃないって言われたけど、プロの人にきれいにしてもらえば、多少違うかな。
「本当に素敵に仕上がりました。お連れの方喜ばれると思いますよ。これなら、彼に引けを取りませんよ」
「ええっ?」
「ごめんなさい、私ったら余計なことを」
メイクさんが慌てて言う。
「いいんです。本当のことですから。でも、少し近づけたならうれしいな」
元が元だから少しくらいよくなっても、たかが知れてるけど。
少しでも彼の横にいて恥ずかしくないって思われたい。
なんて思ってる。
そう言って彼が待つところまで案内される。
壁にある大きな鏡に自分の姿が写る。
緊張がピークになる。
ちょっと恥ずかしい。自分じゃないみたい。
写真を撮るために、ドレス裾を整えてもらう。
「着てみると本当に、素敵ですね。彼、あなたに似合うドレスちゃんと見抜いてますね。もともとスタイルが素晴らしい上に、切り替え位置が高いのでとっても上品に見えますよ」
試着を手伝ってくれた女性が、トレーンを広げてくれる。
「花澄?」
井上さんが立っている。
彼が近づいてきて、私を見つめてる。
嬉しそうに、今にも抱きしめてくれそうにして。
そんな顔してると、本当に感激してくれてるみたいに見えるよ。
「君は、本当にきれいだね。そのドレスよく似合ってる」
「はい」
だといいですけど。
「俺も、タキシード着ればよかったな」
彼が私の横に立つ。
この姿、気に入ってくれたのか、彼は、何度も私の方を見る。
係りの人に言われて、二人で並ぶように言われて写真を撮る。
「本番では、ブーケを持って、ティアラで飾りますね。お化粧も完璧にしたら、本当に素晴らしい花嫁さんになりますよ」
「もちろん。君が最高だなんてずっと前から気が付いてたよ」


