だ、だいたい健人も健人だ。
助けてくれるにしても、健人はわたしの右側にいたんだから、左手で掴んでくれたらよかったのに!
無駄に距離が近くなったせいで、少し周りからの温かい視線が辛い。
「ありがと」
そっけなかったかな、と自分でも少し思ったけれど、とにかく早く離れたくてそう言って健人の腕をどかした。
「いや、彩奈は昔から危なっかしいからな」
そう言って優しく笑う健人。
まったく……過保護だなぁ。
でも、そうだよね。昔は今みたいな距離感も当たり前だったし。
何を気まずく思っていたのだろう、相手は健人なのに!

