教室と、初恋。



「ほ……ほら4人行っちゃったよ、早く行かなきゃ」


わざとらしく慌ててみせて、夏らしい音をカランと鳴らしながら小さく走る。


「お前、あんまり急ぐと……!」



少し後ろから聞こえた、健人の声。


だけどそんな声もむなしく、慣れない下駄と歩幅を狭くさせる浴衣につかまって、ぐらっと世界が傾いてしまう。



「きゃ……っ!?」



転ぶ、と思ったその時。


わたしの右側から突然腕が伸びてきて、わたしを正面から抱きとめるように肩に腕を回した。



「危ない……ばか」


「ご、ごめん……」



わたしを受け止めた健人の右腕。


転びかけたせいで、心臓がばくばくしている。