やばい、と思った。
低い声に、メガネの奥に覗く鋭い目。
……絶対怖いタイプの先生だ!
チャイム鳴ってるのに何サボってるんだって怒られる……!
だけど次に掛けられたのは、確かに低いけど、優しい声。
「足怪我してんのか。大丈夫? 歩けそうなら教室まで送るけど。今のまだ予鈴だから安心して。
もし痛かったら言って、医務室連れてくし」
背の高い彼は、わたしの目線まで屈んで、上目遣いで優しく聞いてきた。
すっかり気分の落ちて下を向いたわたしの頬に手をあて前を向かせる。
なんでさっき怖いなんて思ったのか疑問に思うほど整った顔が目の前に来る。

