だけど鍵は錆びて滑りが悪くなっているみたいで開くのに時間がかかったけれど、それはあるたくらみをしたわたしにとっては好都合だった。
ドアが開いた瞬間。
「先生!」
わたしはピックに刺したレモンの蜂蜜漬けを先生の口に入れた。
「!!」
珍しく、驚いた表情をする先生。
「……何、これ」
まだ少し冷静さを欠いた声でひとり言のように先生は呟いた。
「レモンなんですけど……あ、先生もしかして苦手だったりしました?」
何も考えてなかったけど……迷惑だったかな。
先生なんか潔癖っぽいし、人の作ったもの食べられないとか!?

