「まぁでも"あんなこと"があったら、顔とか抜きに好きになっちゃうよね」


うんうん、と勝手に納得するように頷いたりこ。



「え、何? 何かあったの?」


「あーそっか、ゆきは去年クラス違ったから知らないのかー」



訪ねてきたゆきに、いたずらっぽく笑いかけるりこ。


教えてあげなよ、みたいな目でこちらを見てくるし、ゆきも興味津々な様子。



「……そんな面白い話じゃないよ?」



そう前もって言っておいて、話すのは1年前の話。


入学式の、2日後かな。


わたしたちがまだ15歳の話だ。