教室と、初恋。



わたしに合わせてゆっくりゆっくり歩きながら話してくれる先生。


数学解いてるほうが楽しいし……なんて呟く先生にちょっとかわいいなんて思ってしまう。



「岡野彩奈です。あのわたし……学校で目立ったりしてますか?」


「岡野ね。さぁー? 俺も会議でちらっと聞いたくらいだし、他の新入生も自分のことでまだ精一杯なんじゃない?」



嘘とは思えない先生の口調で少し安心した。


友だち……ちゃんと作らなきゃ。


そう思って、唇を少し強く噛んだ。



「……岡野」



小さく聞こえた先生のわたしを呼ぶ声。


見上げると少し切なげな目をした先生。



……どうしたのだろう。