やってしまった。 余計な一言で何度も人を怒らせてきた。 土方の眉間のしわは一層深く、 定規が挟めるのではないかと・・・ 「てめえ、言いたいことはそれだけか」 腹の底から出ているような低い それであって心地良い声。 カシャン―― 土方の後ろから聞こえる音。 「あら、土方さん・・・それに沖田さん なにしてるの?斎藤さんたち、 屯所へ帰られましたよ?」 総司の後ろから少し顔を覗かせる。 そこにはだんだんと深くなるお抹茶色の 着物の色白な女性。 その人が現れてから二人の空気が和らいだ。