桜の花びらの綺麗なピンク色が、あたしの目にはどうしてもそう映らなかった。 ううん…花びらだけじゃない。 あの日から目の前の世界は色を失って……。 モノクロの世界に1人だけいるような気分。 大好きな人がいなくなった目の前は、あのキラキラした世界を完全に失っていた。 「愛理、急いで走って!」 「……うん」 今日からあたしは…高校2年生になる。 けど、あたしの中の時間は止まったまま動いていない。