血を喰らう鬼は赤く染まる桜。

「あなたは...」
あたしは震える声で訪ねた。
唇の端から、だらしなく垂れた血液を、無造作に右の手の甲で拭った。
「桜...」
「え...?」
ぽつり、つぶやく言葉に問い返したあたしに、気絶した少女をさも愛おしそうに抱きしめた彼は、悠然と微笑む。
「俺の名前は、さくら、だ。...荻原 カナ。」
...どうして。
どうして、あたしの名前…知ってる、の...?