ラグタイム2号店

突然のように口を閉じた夕貴に、俺は理解をした。

武人のことが好きなんだ、と。

双子ならではの勘と言うのはおかしいけれど、俺は夕貴が武人に恋をしているのだと感じた。

だって現に夕貴は、悲しいような切ないような、そう言う顔をしていたのだから。

「どうした?」

声をかけた俺に、夕貴はハッと我に返ったと言う顔をした。

「ああ、何?」

そう聞いてきた夕貴に、
「いるんだろ?」

内緒話をするように、耳元で聞いた。

「えっ…」

驚いた顔をした夕貴に、
「いいよ、今は言わなくても」

俺は言った。

バタバタしている今は無理かも知れないけど、落ち着いたら武人と向きあって気持ちを伝えればいい。

その時になったら、話を聞かせてくれればいい。

心の中で呟いたら、
「まあ、いいんじゃないか?」

大輔さんが言った。