白石 花奏。


俺の幼なじみ。


家が隣で、小さい時から…いつも一緒。


楽しい時は二人で笑って、悲しい時は二人で泣いて…。


そんな日常が当たり前だったし、ずっと続いていくんだろうな…って、漠然と思ってた。


でも、小6の冬に両親から遠くに引っ越すことを聞かされて…


正直、頭が真っ白になった。


この家を離れる…?


花奏や他の友達と同じ中学に行けない…?


直ぐに受け入れることなんて出来なくて、両親が質の悪い冗談でも言ってるんじゃないか…とまで疑った。


だけど、そんな願いも虚しく、引っ越しの準備は着々と進んでいった。


花奏に引っ越すことを伝えたのは…卒業式も間近に迫った3月の初め。


“近頃、元気ないね。”


“何か、あったの…?”


そう聞かれた時に、思いきって打ち明けた。


本当は、もっと早く言うべきだったんだろうけど、花奏を目の前にすると胸が苦しくなって、言えなかったんだ。