「なっちゃん、速かったね~!予選A組の中でダントツの1位だったし、今の準決勝も余裕の1位だったね!」


「まだ準決勝だからな。勝負は、これからでしょ。」


「でも、すごいよ…なっちゃん!優勝だって狙えるよ!」


眞紘くんが友達のところに行った後、間もなくして始まった短距離の予選。


一番最初の組に登場したなっちゃんは、2位に大きく差をつけてのフィニッシュ。


難なく進出を決めた準決勝でも1位になり、決勝へと進むことになった。


「矢口くん、写真の方は…どう?」


「ちゃんと撮れてるよ、一応。」


「カメラ構えて写真を撮ってる矢口くん、すごくサマになってる…。さすが写真部だね!」


「同じようなこと、この前…夏波にも言われた。自分じゃよく分からないけど…。」


矢口くんは、カメラを見ながら照れくさそうに笑う。


少し頬が赤くなっていた。


「今日の写真、出来上がったら見せてね!」


「もちろん。一番最初に夏波と白石と眞紘に見せるよ。」


そう答えた矢口くんは、優しく微笑んだ。