目を開けると、焼け野原になっていた。

湖なんて涸れている。あれだけあった木も焼けている。後方では落雷だと叫ぶ声も聞こえる。
前衛は爆発で酷い状態だ。水に強いけど火に弱いストーリーを装備していた人はもう……

まだ火が燃えている。言葉で表すなら……紅蓮だ。

「邪魔な愚か者は消えたな」

赤い目の男が燃えたストーリィの灰を踏んで言った。

「誰が愚か者だって……?」

私がそう言うと、男は嗤って、燃えた軍人のことだと言った。

「無駄な闘志を燃やし、俺の炎に燃やされていった、愚かな軍人ども……」

「黙れ、貴様が言うな」

真っ赤な槍を男の首元に当て、教官が言った。

「教官、生き残っていたんですね!」

嬉しかった。絶望と怒りで埋め尽くされかけた私に、小さな希望が見えた気がした。

「残念だが、教官の空無 恵紅はもうすぐ死ぬ」

「えっ?」

教官、何で死ぬなんて……まさか……

「まだ生きているのに、自ら……」

「私は黒田 恵紅。空操禁書たちのマスターだ」

はっきりと聞こえた、聞き間違えも無い。教官が……空操禁書たちの……

「もし、お前の仲間が死んだと言ったら……どうする?」

男はニヤニヤしながら聞いた。一瞬、怒りで頭が真っ白になった。

「この白旗で消すよ。あなたの存在を」

白旗を男に向ける。白旗には、いつの間にか赤い染みができでいた。

「桃心、白旗に穢れがある。穢れを我に移せ」

「移す……?」

「ああ、移すことを意識してくれたらそれでいい」

恵紅に言われた通り移すのをイメージして旗を振る。すると、赤い染みは消えていた。

「穢れが現れたら我に移せ」

恵紅は何がしたいの?あの男は一体何者なの?