私は、美理矢君のことを少しだけ怖いと思った。そんなこと思っちゃ駄目だと思ったけど……

「僕、帰ることにするよ。白原さんは?」

「私は……もうちょっと調べることにするよ……」

「それじゃあ、さようなら」

美理矢君は、バタンとドアを閉めた。美理矢君の笑顔も、好きだけど信じられない。内心どう思っているのか分からない。

そういえば……またね、とは言ってくれなかったな……

こんな気持ちで、美理矢君も自分のことが好きという訳じゃないなら、好きでいてもしょうがないかもしれない……
あれ?私、いつの間に好きって……

「桃心ちゃん……?」

笑実ちゃんに心配されて気が付いた。私、泣いてる……
空操禁書もラストも無い、平和な世界なら、こんな思いせずに済んだのかな……?でも、ラストがいなければ美理矢君と会えていなかったかもしれない。

「ごめんね、私帰る」

私は下を向いて図書室を出た。一人なら厄介なことに巻き込まれずに済むと言う織雨さんの考え、今なら分かる気がする。