「そうですか……まだ無いのですね……」

「はい、でも私も白旗について調べています!もう少しで何か分かりそうなところです!」

勝山さんがあまりにも悲しそうな顔をするのでいたたまれなくなる。今日は織雨さんのところ行こう……

「でも、最近調子がいいの。白旗を振ってもらった後は特に」

笑実ちゃんの言葉で、勝山さんは少し安心したみたいだ。
図書室で調べるために今日は早く帰ることにした。

「何か収穫があったら今度報告するねー」

「ありがとう」

帰り道で愛恩が、勝山さんにいつ軍医になったのと聞いた。

「実は、元は魔法部隊でした。そのとき笑実と一緒に戦っていました。ですが笑実が戦えなくなり、その後魔術部隊は攻撃を優先するようになりました。軍医になればクイックシルバーの研究もできると聞いて軍医になりました」

そうだったのか……でも今は任務中に怪我した人の治療が多くなって、治療法を探す時間も減っているらしい。今日も少ない休みを使って来たと勝山さんは言う。

「これからまた戻らなければいけません。でも明日は一日休みをもらえたので図書室に行こうと思います」

通称、陸と海の分かれ道で勝山さんと別れた。海の方に行って、廊下を歩く。

「ごめん、ちょっとトイレ行く!」

「わかった、先行くねー」

夕方になる少し前、お日様が眩しい。窓から目を離し少し遠くを見ていると、あの教官がいた。今度こそ名前を聞きたいと思って走り出した。