桃心は作戦が終わった後、とある島の食堂でワルキューレたちと話していた。

「白旗か~それとヴァルハラを使えば勝てるかもしれないね!」

秘密兵器、ヴァルハラ。装着すれば空を飛びまわることが出来る。空操禁書と対等に戦うことが期待され、今後は量産化が進められるだろう。

「凄い時代になったわよねぇ」

長月 緒兎(ながつき おと)が髪を触りながら言った。

「本当凄いですよね。霜月先輩はどう思いますか?」

「まさか私が選ばれるとは……ちゃんとできるか心配です」

皐月橋 晴南(さつきばし せいな)に聞かれると、マフラーで顔を隠した霜月 風花(しもつき ふうか)が小さな声でそう言った。

「空操禁書を倒すため、神が力を貸して下さったとかだったら……」

紙に詩を書きながら文月 来羅(ふみづき らいら)が言うと、夜林 神無(よばやし かんな)がすぐに否定した。

「神なんてあり得ない。ヴァルハラは技術科が最新の技術で生み出したもの」

神無は頬杖をつきながら来羅を見つめる。目つきが良くないせいで睨んでいるようにも見える。

「出たー神無の無神論」

コップを持ちながら、水を飲む前に如月 霧乃(きさらぎ きりの)が言う。

「そっか、神様はいないと考えるんだ」

「そうだけど、見えないのによくみんなは信じられるね」

葉月 りんねは少し黙った。そして、神無から目をそらして話す。

「同じ神様がいない世界でも、神様がいないからってみんなが好き勝手して傷つけあう世界より、神様がいなくても信じて……信じなくても助けあえる世界の方がいいと思わない?」

りんねの話を聞いて、みんな固まり、沈黙した。

「それが出来ないからこうなったんじゃないの?」

神無は悲しそうな目を隠すように目を瞑り、コップの水を飲んだ。