空操禁書たちはどこかを目指して飛び続けた。その間、空操禁書たちは不気味なことに全く攻撃してこなかった。

その頃、潜水艦秋桜は潜水していた。

「いつまでこの状態なんでしょうね」

「ルミナスが攻撃されたあたりでもう作戦終わっててもおかしくなかったのにな」

「あっもうすぐ上がるんじゃないですか?なら、今のうちに少し準備しておいた方がいいかもしれませんね」

敵に気付かれないように静かにしないといけないので、秋桜の乗組員は筆談が多い。ただ、壊滅的に字が汚い乗組員もいるのでそのときは小声で話す。

静は発令所で連絡を待っていた。突然、誰かが中に入って来た。

「誰!?」

急に姿を消し、静の背後に来た。

「ミサイルを発射するのをやめろ」

「それは出来ないわ」

「そうか……なら」

ナイフが背後から現れる。それは、静の首に近づいてくる。

「っやめて!家族が待っているの!せめて……」

途中で言うのをやめた。情けないなと思ったからだ。自分が生き残るために任務を放棄することが。

「もし発射したらお前だけでなくこの潜水艦にいる奴全員死ぬ」

自分だけでなく……静は考えた。もし発射しなかったら周りから批判されるかもしれない。扶桑に逆らうことになる。
けど、ミサイルで空操禁書を何とかできるとは思えなかった。もし失敗して、その上皆の命を奪うことになったら……


「分かったわ。中止すれば皆は助かるのね」

そう言うと、ナイフは消えていく。椅子に座り、静はカタカタとキーボードを打った。

「艦長からの連絡だ!」

「とうとう出番が来たわ!」

パソコンに集まり、画面を見る。

「中止……?艦長は何を考えているの!?」

「でも、艦長が中止って言ったんだから従わないとだね……」

ほとんどの人は従ったが、何人かは納得いかないと言って発令所に行った。しばらくして、静から次の連絡が来る。

「まさか言うこと聞いてくれるとは思わなかったよ。その上……」

「いいの。そっちが何もしてこないならこっちも危害は加えない」

空操禁書が潜水艦から出ていくと言うので、潜水艦を浮上させることにした。

「ありがとう」

「どういたしまして」

浮上した潜水艦から空操禁書は飛び立つ。その間、攻撃することはなかった。

「艦長……ここにいたんですか!」

「空操禁書……!中止しなければ討伐できたかも……!」

乗組員たちは悔しそうにしている。

「何もしてこない相手に攻撃はしない。それに反撃されたら勝てないもの」

静は青空を見上げて言った。