封印の虹 Vivid army

葉月は折り返し、駆逐艦の姿を探す。その時、向こうから瓦解の本が来た。

「折角直したのに……」

瓦解の本は捕虜になっている時、魔力を盗み本を少し修復した。しかし、戦闘機に見つかり執拗な攻撃を受けていた。

「魔力がもうそろそろ港に届けられるわ」

葉月はすれ違いざまに伝える。

「サンキュー」

瓦解の本はそのまま港に向かった。


そう、葉月は空操禁書側の人間だった。運命の本。人の運命を知ったり、変えたりする力を持つ本。
魔力を大量に使うため、今回の作戦では力を使わない。しかし、白旗が現れる頃を見計らって祈望軍に潜入した。

まさか、ワルキューレにしてもらえるなんて。おかげで情報をマスターに伝えることができたわ。

着艦してすぐ、銃で腕を撃たれる。しかし、睡眠薬は効いていなかった。
今は人間のふりをしておこう。今はまだ知られるわけにはいかない。


目を少し開ける。自分は身動きが取れないよう手錠がかけられ、大柄な男性二人が見張っていた。もうちょっと寝た振りしようかしら。ここで逃げたら空操禁書だってわかっちゃう。

空操禁書が創造する完璧な世界。正義が守られ、全ての人が最低限度の生活を送れる世界、手離すわけにはいかない。

「酔いそうだ……」

「四十ノットですから、乗り慣れてないあなたにはきついでしょう」

艦長が誰かを連れて来た。四十ノット……師走とかに送ってもらったのかしら。
目を開け、確認する。

「起きたかい。空操禁書」

「えっどっどういうことでしょうか?」

よし、演技もばっちりだ。この調子でいけば……

「嘘をついていることは分かっているんだよ」

光が無い目、そんな目で見ないで!目をそらしちゃだめだ。でも、嫌だ、見ないで。
っていうか、こいつ……レドルは誘惑の本に殺されたはず……何でここにいるの!?