私は確か、軍でそこそこの立場にいた気がする。いや、分からないけど。

完全に記憶喪失じゃなくてこれぐらいは手掛かりがある……運がいいのか悪いのか分からないなあ。

真っ暗な世界をあても無く歩く。次の瞬間、何かが飛んできた。避けたので怪我は無かった。

「トランプ……」

血のように赤い宝石が描かれたトランプ。これは、ピジョンブラッド……ピジョン……そうだ、私は死んだんだった。

死んだのか……なら、もう何も出来ないや。私があんな馬鹿なこと考えなかったら、有早たちは死ななかったのかな……

まだ、出来ることがあるよ

声がした方を見る。そこは光輝いていた。

こっちに来て、あなたの役目なの

「……なるほど、隠居するにはまだ早いってことか」

私は光の方に飛び込んだ。