「愛恩!」

「桃心、どこ行ってたの!?」

「外に出てたの……」

私がそう言うと、愛恩は両手を私の肩に乗せた。

「何で……言わなかったの。皆捜したんだよ」

「ごっごめん!」

どうしよう。言うタイミングが分からない。

「いつ敵に襲われるか分からないから、一人で勝手に行動するのは控えようよ」

それは、軍が劣勢になっているから言っているのかな?それとも、私が白旗を持っているから?

「桃心、最近隠し事が多くなったよね」

「どういうこと?」

隠し事なんてした覚えは……

「美理矢って人が好きだってことを言わなかったのも何か理由があったの?」

そういえば、愛恩にも言ってなかった。でもそれは言い忘れていただけで……

「昔の桃心と大分変ってしまってる。前はこんなことなかったし、性格だって……」

「こんな状況でも、愛恩は変わらずにいられるの!?」

飛び出した言葉は廊下全体に響く。

「……もういいよ。言ったって聞いてくれないでしょ」

愛恩は冷たい声で言った後、走り去ってしまった。そうか、こんな状況なら愛恩も私も変わっちゃうよね。それなのに、愛恩にあんなことを言ってしまった。

早く謝らないと。そして、早く仲直りしたい。