「ふわーぁ……」


大きなあくびをして涙目になった目を擦りながら窓の外を見つめる私は
雪野 美琴(ゆきの みこと)。


最近高校生になったばっかり。


特に趣味も特技もないし、好きな人もいないから本当につまんない毎日を送ってる。



「美琴!」


「ん? なに、百合」




私の親友、橋本 百合(はしもと ゆり)。というよりは……幼なじみと言った方がいいのかな?


左で器用に結んであるストレートの黒髪は、いつもつやつやで羨ましい。


本人は気づいてないみたいだけど、めっちゃモテモテだよ。



「あんた今日日直でしょ!」



え!?


「うっそ! あ、マジだ……」



黒板には私の名前が書かれている。


めんどくさいよ~……。



「ほら、黒板消してきなよ」


「へーい……」



しぶしぶ黒板を消しに行くけど、背の小さい私は届かない。


上の方全然消せない……!


頑張って背伸びをしてみても、あと少しのところで力尽きる。


私が届かないことを知っていながら手伝ってはくれない百合に怒りながらも私が困っていると……



私の手から、スッと黒板消しが離れた。