「何してるんですか?」
その問いに答えてくれないとわかっていても。
ついつい先輩に聞いてしまう自分も大概だけど。
何も答えてくれないから。
先輩の後ろからそっと覗いちゃえ、なんてヒョコヒョコ近寄っていった。
「写真…ですか?」
画面いっぱいにたくさんの写真がずらっと並んでいて。
パッと見た感じ、どれも風景の写真ばかり。
「キレイ……」
思わず口から出てしまった言葉に、ほんの少しだけ先輩の雰囲気が柔らかくなったような気がした。
ウワサどおり、この人は風景の写真しか撮らないのかもしれない。
空とか海の写真ばかり。
青が多い中、ポツポツとオレンジ色の写真が混ざってる。
あの日の写真も、このファイルの中にあるのかと思ったら。
急に、ドクンと胸が苦しくなった。
でも、こうやってパソコンで写真を管理してるってことは…
「いつもデジカメですか?」
だって、そうなら暗室にこもる理由がないんじゃないだろうか。
写真のことはよくわからないけれど。
今は簡単に印刷だってできる。
でも、それだと写真の質が落ちるとか…?
なんて考えたところで、答えが出ることはないんだけど。