「これ、絶対マナトに内緒にしてな」

夕焼けを見ながら、土手に座る。

赤い髪がキラキラ輝く。

慣れない関西弁だけど、口調は優しくて落ち着く。

マナ先輩と違うタイプのイケメン。
親しみやすい雰囲気のくりくりお目目なかわいい顔。

「俺のことは怜次って呼んでええで。めっちゃ大阪弁やから怖いかもしれんけど、安心して。俺、マナトの親友やから」

マナ先輩に親友がいた。

そのことが嬉しかった。

怜次先輩は、中学時代の同級生。中学2年で大阪から転校してきた怜次先輩は、マナ先輩と仲良くなった。

同じ高校に進んだけど、また転勤で大阪に戻ることになった怜次先輩。

転校でちょっと荒れてしまった怜次先輩は勉強についていけず留年。

戻った高校で、同じ学年にマナ先輩がいてびっくりしたんだって。


「俺、戻ったばっかりやねん」

「そうなんですか?」

「マナトの事件があるちょっと前くらい」

だからそんなに見覚えがなかったんだ。

この赤い髪とイケメン度からして、山城先輩とマナ先輩に負けないくらいの人気者になりそう。


「マナ先輩嬉しかっただろうなぁ」

「マナト、留年して孤独感感じてんて。俺が来たからこれからは大丈夫やでって話してたのに、結局停学になってあんまり遊べてへんねん」

マナ先輩、高校生活が楽しくなるはずだったのに……