―ふたりを繋ぐ存在―

マナ先輩が高校に来ないまま、夏休みに突入した。

担任の先生に教えてもらった。

退学は免れたけど、神野はもう辞めるかもしれない、と。



桃香と私と日野さんは、一緒に帰るようになった。


マナ先輩に会えないことと引き換えのように、私には仲間ができた。

桃香がハナちゃんハナちゃんと言ってくれるのが嬉しくて、テニス部が好きになった。

迫田は普通に顧問として部活に来る。

私に対しては何も言ってこないけど、いやらしい視線だけは感じる。

真相は闇の中。

何があったのか誰も知らない。



生徒に聞かれると迫田は『俺もきつく注意したから反発して殴ったんだろう』と言うらしい。


何を良い先生ぶっているんだろう。
全部嘘ってわかってる。

担任からは、もう首を突っ込まない方がいいと言われた。

担任も、迫田のことはよく思っていないような口ぶりだった。