ただただ君が好きでした


「で、お前誰なの?」

「私、1年の崎山花菜といいます」

「ハナ、じゃあ、オハナって呼ぼうかな」

「やめてくださいよ~!オハナなんて」

「知ってる?オハナってハワイでは、仲間とか大切な友達って意味なんだぞ」


まだ会ったばかりで、ものすごく遠い存在なはずの神野先輩がそんなことを言ってくれた。

嬉しくて、泣いちゃいそうだよ。

「嬉しいです。オハナって呼んでくれるんですか?」

「また会うことがあれば、だけどな。オハナは俺が怖くねぇの?」

「全然、怖いわけないじゃないですか。すごく優しくて、びっくりしました。本当に、さっき先輩がいなかったら私はここでひとりで号泣してたと思います」

みんなの憧れの神野先輩とこんなにもお話しているなんて、私すごくない?

これ知ったら、テニス部の友達また嫌がらせするんだろうな。
それとも、うらやましくて私に近付いてくる?


「それなら良かった。俺も、オハナが来なかったら泣いてたかもしれないな」

冗談っぽく笑った神野先輩だけど、本当なんじゃないかと思ってしまう。

「私は、なんて呼んだらいいですか?」

神野先輩相手にこんなことを聞いてしまって、言った後で後悔した。

でも、先輩は優しく言ってくれた。

「オハナが呼びたいように呼んでいいよ」


私は、頭の中で何度もジンノマナトと繰り返した結果、

「マナ先輩って呼んでもいいですか?」

素敵な呼び名を考え付くことができた。